ラミーの創業は1930年、ドイツのハイデルベルクにて誕生しました。
ハイデルベルクは600年以上の歴史を持つドイツ最古の大学、ハイデルベルク大学を擁し、
物理学者のキルヒホッフらを輩出したアカデミックな土地柄です。
その知的な風土が、ラミーの万年筆にインスピレーションを与え、高性能と機能美で
世界中にラミーの名をとどろかせたということは想像に難くありません。
現在では、年間売り上げが5000万ユーロに達し、デジタル全盛の時代でありながら
経済的にもリードしているという点は特筆に価します。共通通貨ユーロによる
グローバル経済時代の寵児ともいえます。
ラミーの特徴は、なんといっても低価格でありながら高品質の万年筆を提供しているという点です。
3千円台という価格で手に入る気軽さは、万年筆という伝統ある筆記用具のすばらしさを、若い世代に
伝えるという面での貢献も計り知れません。万年筆の魅力は、かしこまった雰囲気や威厳だけではなく、
様々な筆記用具が扱えるようになった今でも、機能の面で優れているということを思い起こさせてくれます。
指先に力を入れて押付けなくとも、紙にペン先をそっとなでるだけで、するすると文字が出来上がっていく
快適さは、万年筆に特有のものだからです。力が要らずにスムーズにことが運ぶということは、
心身ともにリラックスさせてくれる効果をもたらしますから、まるでお風呂に入っているときに
気分良く歌が口をついて出るように、快調に筆が運び、いつの間にか文章が書きあがっているということも珍しくありません。
グリップ部分の造形にも工夫が見られ、指があたる部分が深く削りこまれたような形状が、
万年筆に慣れていない方に対しても、ガイドのような役割を果たすようになっています。
ですので、的確にペン先からインクが流れ出し、正しい万年筆の持ち方を学習することが出来ます。
ここも、ラミーを万年筆人生の最初の一本に薦められる方が多い理由のひとつでしょう。
ラミーを代表する万年筆が、1966年に発表された、ラミー2000です。ゲルト・アルフレッド・ミュラーの
手によるこの万年筆は、ふっくらとした円柱形をベースに、とがった部分が一切ないという画期的な
デザインで、50年近くも前のデザインでありながら、そのたたずまいは現代建築や最新の新幹線のような
未来的な美しさがあります。デザイナーの先見性に、ただただ驚かされるばかりです。
ラミー2000はいまでも、ステンレスやアルミといった金属を生かした
モダンデザインの万年筆の象徴として、愛され続けているのです。
高級万年筆は耽美さも大きな魅力であり、ぜひ若い方も遠慮せずにその魅力を存分に味わって
いただきたいものですが、環境によっては上司の顔を立てる必要があるため、使用がはばかられる場合も
あるでしょう。しかし、ラミーの万年筆はソリッドな雰囲気であるため、どんな場面であっても使用できます。
その実用性こそがラミーの真骨頂でしょう。