1913年、アメリカ中央部アイオワ州のミシシッピ川を臨むのどかな街、フォートマディソンで
シェーファーは誕生しました。フォートマディソンは19世紀のキリスト教建築やロデオ大会などの
アメリカの歴史が残る街です。ミシシッピ川を横断する2階建ての鉄橋の偉容は、
シェーファーの創業時の街の活況を、想起させてくれるようです。
創設者のウォルター・A・シェーファーは宝飾店を営む傍ら、発明家的な才能も持ち、
自らの店舗の一室で万年筆を作り始めました。
シェーファーの万年筆はアメリカの要人の間で人気が高く、
1945年にジェイムズ・F・バーンズ米国務長官がシャーファーのペンを使用して
国際連合憲章に署名したことで、シェーファーの万年筆が特別な場所で、
価値ある用途に使われる筆記用具としての地位を確立しました。
米国製万年筆のクラシックな魅力を今に伝える一本が、レガシーヘリテージです。
レガシーヘリテイジは、適度にふっくらとした太さによって、指の間に力をあまり入れなくても
すっぽりと収まり、少ない力で書くことのできるボディシェイプを持っています。
これは葉巻に似た形状を持っていることから、シガーシェイプとも呼ばれます。
ペン先は、シェーファー独自のひし形のデザインが用いられた金ニブで、
シェーファーの代名詞ともいえるインレイニブの方式で、あなたのマインドを紙に伝えます。
レガシーヘリテージに用いられる装飾は、控えめではありながら、まごうことなき22金で
黒いボディのディテールを際立たせています。このシェーファーの万年筆を使用することで、
アメリカの歴史を作ってきた政治家、会長、著者といった人物達のマインドを
あなたも共有できるのではないでしょうか。
インレイニブというのは、ペン先が首軸に埋め込まれ、ペン先と首軸の境界をなくすことで、
流麗なデザインを生む手法です。インレイニブは見た目のよさだけではなく、
万年筆のマスが集中化されて、従来のニブのように細い境界部分に筆圧が集中しないため、
よりダイレクトな書き味が生まれるように感じます。万年筆に限らず、21世紀の工業製品は
なるべく一体化、継ぎ目のなさの追求という方向に向かっていますが、
シェーファーのインレイニブからも、どことなく最新のスポーツカーや航空機を思わせる、
近未来的な空気が漂います。シェーファーがインレイニブの万年筆を開発したのは1959年ですから、
その先見性の高さには脱帽です。
インレイニブと共に、シェーファーの独自性がみられるのが、
ペン先が紙の接触面から逃げる方向に、やや反り返るように加工してあることです。
軸とペン先が一体となった剛性感ある構成に、最後の最後で力を絶妙に逃がす加工が施されることで、
滑らかな書き味を生み出すために最高のバランスを達成するというのが、
シェーファーのスキームなのでしょう。これにはアメリカ的な合理性と自由な発想が、
非常にいい形で息づいているように感じます。