:::: MENU ::::

エス・テー・デュポン

  • 3月 06 / 2020
  • エス・テー・デュポン はコメントを受け付けていません

エス・テー・デュポン


1872年、エステーデュポンは、革製品の制作会社として産声をあげました。
手作業によって深い風合いと高い耐久性を備えたスーツケースやトランクは世界に誇る名品であり、
今でもエステーデュポンを象徴する製品のひとつです。このようなトラベルバッグにより、
多くの人々に旅行をする楽しさを提供したエステーデュポンですが、
大戦の影響によりバッグの素材が入手困難になりました。
そこでエステーデュポンは、大胆に金属製ライターの製作へと事業を広げ、
ここでもその品質の高さと、ライターの蓋を開いたときの、鐘の音のような美しい音という
心憎い演出によって話題となり、エステーデュポンのライターによって紫煙をくゆらせることは、
当時の大人の男のステータスシンボルとなるまでに名声を得ました。
それと同時に、高度な金属加工の技術と、美しい漆による塗装のノウハウを蓄積させるに至ったのです。
その2つの技術が融合されて作られた万年筆は、胴軸、首軸を含む全ての部品が金属で作られることによって
荘厳な重量感と滑るような書き味を持ち、大人の雰囲気といつまでも魅力を失わない風合いを放つ漆塗装という、
2つの大きな特長を持った、他では見られない万年筆を誕生させたのです。

金属製・漆塗装という伝統は、今もオランピオをはじめとする、エステーデュポンの多くの万年筆に
見られるものです。きらびやかな貴金属や、磨き上げられた仕上げによって光り輝く姿も
万年筆の醍醐味であるかと思います。しかし、正漆の持つ、マットで奥ゆかしく
それでいて深い色合いというのは、決して強く主張しない立ち居振る舞いでありながら、
周りの尊敬を得てやまない紳士、淑女の姿を象徴しているように思えます。

インクの吸入方式を、取り扱いが容易なカートリッジ式を採用しているところも、
エステーデュポンの万年筆の特徴です。これならカートリッジごと差し替えるだけで
インクの補充が出来ますから手軽ですし、メカがシンプルに出来るので、
シルエットのシャープさを助けるという利点もあります。

他にも、新作のステンレス製のペン先に、カーボンファイバー製のボディを組み合わせた先進モデル、
デフィなど、いまもなお金属加工技術を生かした万年筆を生み出し続けています。
新たな万年筆を生み出す一方で、これまでの伝統的技術の粋を尽くした限定モデルの製作のために、
「オートクリエイション」部門を創設し、伝統技術の保存にも努めています。
そこで生み出されるモデルは、ブロンズによって削り出された、ノートルダム大聖堂を姿を模した万年筆など、
現代最高の美術的価値があるものばかりです。

2012年11月には、長年の功績が認められ、フランス政府によりEntreprises du Petrimoine Vivant
(現存する遺産的企業)表彰を授与されました。これによって名実共に、フランスの工芸品の魅力を
世界に最も発信している企業のひとつであるということになるでしょう。

Comments are closed.